スパイダース、PYG、井上堯之バンドでそれぞれ井上さんとともに活躍した大野克夫さんは、昨年亡くなったムッシュかまやつさんのお別れ会で井上さんと久しぶりの再会を果たしたことを振り返る。
「50年以上もの付き合いになりますからね。けっこう痩せていて。『食事がなかなかできない』と言っていました」
2009年に健康上の理由からプロ活動からは引退していたが、ライブや楽曲制作はその後も継続していた。かまやつさんのお別れの会でも、堺さんや大野さんらと演奏を披露していた。当初、スパイダースのコーラス&ダンス担当だった井上さんにギターを弾かせたのが大野さんだったという。
「スパイダースがリヴァプールサウンドを押し出していきたいという方針となったとき、声をかけたんです。真面目なタイプで、バイプレーヤーとしての魅力がありました」
大野さんに、井上さんとの思い出の一曲を聞いてみたところ、しばし熟考、こう答えた。
「たしか、ビートルズの『デイ・トリッパー』のカバー。これをスパイダースでやったんですが、そのときの井上さんの演奏は、素晴らしかったですね」
今ごろは、やはり長く一緒に活動した盟友・ムッシュとともに、ギターセッションを楽しんでいるころだろうか。(本誌・太田サトル)
※週刊朝日 2018年5月25日号