テレビ朝日系のスペシャルドラマとして2016年に放送された「おっさんずラブ」が、連続ドラマになって戻ってきた。第1話(4月21日放送)から話題沸騰中だ。
田中圭が演じる主人公・春田創一(33)は、女好きで結婚願望があるのにもてないダメ男の会社員。よくありそうな設定だが、ヒロインはなんと職場の上司・黒澤武蔵(55、吉田鋼太郎)、恋のライバルは後輩の男性社員・牧凌太(25、林遣都)。主人公をめぐる、上司と後輩との三角関係を描く“純愛ストーリー”が展開されるのだ。
春田はひょんなことから、黒澤のスマホの待ち受け画面が自分の顔写真になっていることに気づく。さらに、黒澤のパソコンに自分の隠し撮り写真が保存されていることも知り動揺。そんな時に黒澤は打ち明ける。
「好きです。春田君が好きでぇーす!」
大声で愛を叫ぶと黒澤がアップになり、暗がりに光るライトがハート型になってきらめく。恋人を見つめる吉田の子犬のような「つぶらな瞳」が、ネット上でも注目された。
後輩で同居人の牧は“ドS”で過激だ。黒澤に嫉妬し、シャワーを浴びる春田に勢いでキスをする。第1話からイケメン俳優同士のキスシーンも登場する超展開。視聴率は2・9%だったが、女性を中心に関心は高まっており、今後の伸びが期待される。
本誌で「てれてれテレビ」を連載するコラムニストのカトリーヌあやこさんは、予想以上に面白かったと評価する。
「『僕は死にましぇーん』ではないですが、“月9”でかつてやっていたラブストーリーの王道をおじさんで展開しています。『腐女子』が好みそうなBL(ボーイズラブ)で、男同士のキスシーンがあるドラマが地上波で見られるのは驚き。全体的に適度にコミカルでビジュアルも良い。主人公の田中圭くんはそれほど生々しくなく、ちょうどいい感じの愛されキャラで役にハマっています」
このところドラマでは、直球のラブストーリーものはあまりヒットしていない。カトリーヌさんは、あえて正統派の純愛ものに仕立てようとする制作側の意欲を買う。
「すごくまじめに、ラブストーリーとして作られています。舞台俳優の吉田鋼太郎さんも、魂がこもった演技を見せてくれる。元気のあるドラマですね」
男同士の恋愛ものだと際物扱いせずに、一度見たら「おっさん」たちの虜になるかもしれない。(本誌・岩下明日香)
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