辞任する財務省の福田淳一事務次官 (c)朝日新聞社
辞任する財務省の福田淳一事務次官 (c)朝日新聞社

福田淳一事務次官から女性社員がセクハラを受けた」とテレビ朝日が財務省に抗議し、批判が殺到しても、渦中の麻生太郎財務相はどこ吹く風だ。

【写真】テレビ朝日の記者会見の様子

 麻生財務相は24日の閣議後記者会見で、福田次官の辞任承認を公表した際、「(セクハラは)はめられて訴えられているんじゃないかとか、世の中にご意見ある」「セクハラ疑惑は少なくとも週刊誌報道だけで『あった』と認定するのはいかがなものか」と言い放った。

 自民党派閥領袖がこうぼやく。

「官民問わず、こうした状況になれば、トップは責任を取るもの。麻生さんは逆。まったく自分の立場を理解していないね。安倍(晋三)さんはそんな麻生さんに鈴をつけられないでいる。9月の総裁選で支持を失うのが怖くて辞めさせられず、もう泥沼だ」

 辞任したものの、テレビ朝日に抗議されても「全体をみればセクハラに該当しない」と居直った福田氏に対し、女性記者らに怒りの「#MeToo」が広がっている。数年前、福田氏と佐川宣寿氏が次の事務次官候補として争っていたころ、女性記者Aさんは福田氏からセクハラ被害を受けたという。

「電話がかかってきて、指定されたバーのような店に行きました。酔った福田さんは『今日はこのあとキミの家に行ってゆっくり話をするんじゃないの』『そう思って僕のところに来たんだろう』と言われました」

 Aさんは社の上司に福田氏について相談した。

「『我慢して、ネタ取れなかったの』と言われました。ああもうダメだと、いくら言っても理解されないと思いました。その後、福田さんの取材は続けましたが、ネタになることは何も言ってくれませんでした」

 雑誌の女性記者Bさんもこう証言する。

「テレビ局の人の紹介で福田さんと知り合い、すぐに携帯番号を教えてくれた」

 しばらくすると、麻布(東京都)のバーに呼び出されるようになった。

「最初は官邸や財務省人事など興味深い話だったのですが、『そのスカート、色っぽくていいね』と言い、エスカレートして『スカートの中はどう?』とか言って手を握ってきた。払いのけようとすると、抱きつかんばかりまで体を寄せ、『オレとサシで飲めるチャンス、まずないよ』と言われました。帰りのタクシーにも一緒に乗り込もうとして、押し問答になりました」

著者プロフィールを見る
上田耕司

上田耕司

福井県出身。大学を卒業後、ファッション業界で記者デビュー。20代後半から大手出版社の雑誌に転身。学年誌から週刊誌、飲食・旅行に至るまで幅広い分野の編集部を経験。その後、いくつかの出版社勤務を経て、現職。

上田耕司の記事一覧はこちら
次のページ