監督は劇場版を7年間手掛けてきた静野孔文さんに替わり、立川譲さんが務める。長編映画の監督は初めてで、テレビアニメの名探偵コナンには関わっていない中での大抜擢(ばってき)。
「シナリオの時からいっぱい意見をもらい、この作品に懸けてくれた。シリーズとして続けていくために新風を入れ込む」(諏訪さん)
前出の藤津さんも、
「立川さんは新進気鋭の注目の若手監督。(人気キャラクターの)安室透とのW効果で、好発進・スタートダッシュが期待できる」
と前向きに見ている。
子供から大人まで観客層が幅広いのが、コナンの大きな特徴だ。
「アニメーションはある程度の年齢になると気にしなくなるが、コナンは卒業しない。小さいときに見ていた子が大人になって子供を連れていくなど、ファミリーで見る人も多い。卒業しないからこそ、デートムービーとして見られ、夜の回がいっぱいになる」(諏訪さん)
観客が卒業しない、言い換えれば「離れがたい」コナン。原作の青山さんの設定やキャラクターのよさ、ラブコメ要素などが魅力的に盛り込まれている。トリックや謎解きなど、ミステリーの部分でも、頭をひねりながら見られる。この魅力を支えるヒントは、テレビアニメシリーズにあった。諏訪さんは自分が名作を見た時の経験を、アニメを通じて子どもたちに伝えたいという。
「小さな子供が、大人の世界を背伸びして見る感じを目指している。中学生当時、刑事コロンボの『別れのワイン』を見た。ワインを飲まない自分でも、事件の背景としてワインが絡むロマンを垣間見て、その面白さを全身で感じた。コナンを見た子供たちが、大人の世界を垣間見たような感覚になってほしい。そして大人になったときに『ああ、こんな感覚でコナンを見てたな』と思い返してほしい」
劇場公開に合わせてグッズ販売や、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(大阪)などでのコラボイベントも盛り上がる。「少年サンデー」での連載再開も発表され、ファンの熱量は高まっている。今回も映画館には多くのファンが詰めかけそうだ。 (本誌・緒方麦)
※週刊朝日オンライン限定記事