「安倍政権は消費増税に乗り気ではなく、何度も延期してきた。安倍官邸を仕切るのは経済産業省出身の今井首相秘書官で、財務省は影がすっかり薄くなり、なかなか意見が通らない。森友学園への国有地売却契約が成立する直前(16年5月)、17年4月に予定されていた消費税率10%への引き上げの延期が検討され、財務省と官邸が激しく対立。劣勢で焦った財務省が森友案件で安倍首相に少しでも恩を売り、予定通りにやってもらおうという意向があったかもしれません」(財務省関係者)

 だが、財務省は敗北し、安倍首相はその後、増税を19年10月まで延期することを表明した。

 法政大学の山口二郎教授は森友問題の本質は「公の崩壊」にあるという。

「改ざんは官僚の行動様式から考えて政治の意向がなければ、あり得ない。文書改ざんがバレたのは、権力者が公を私物化したことに罰が下ったとも言える」

 財務省はこのまま、安倍官邸のために、泥をかぶり続けるのか。

「地位も名誉も失った佐川氏が証人喚問で真実をしゃべる可能性もある」(政治アナリストの伊藤惇夫氏)

 政治ジャーナリストの角谷浩一氏はこう見る。

「佐川氏を証人喚問したところで、『刑事訴追の可能性があるので答えられない』と逃げられてしまうのが落ちです」

 だが実は、財務省は巧みな組織防衛術を駆使しているという見方もある。

「財務省は官邸に逆ギレしたりしないし、最後まで安倍首相を守る『悪役』を演じるだろう。しかし、そうすればするほど、国民は『そんなはずはない』と違和感を募らせ、安倍首相の支持率は下がり、いずれ“自然死”する。財務省はそのことを見据え、持久戦で安倍政権を追い詰める構図だ」(政治記者)

 金子勝・慶応大学教授も言う。

「ここまで来れば、証人喚問は佐川氏だけでなく、昭恵夫人、元昭恵夫人付職員の谷査恵子氏、田村国有財産審理室長(当時)も呼ぶべき。なぜ特例対応になったのか。すべてを公にすべきです」

(本誌・亀井洋志、浅井秀樹、松岡かすみ、森下香枝)

週刊朝日  2018年3月30日号

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