憲法改正を進める安倍政権。作家・室井佑月氏は、自衛隊の明記に着目し、改正に疑問を呈す。
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2月25日付毎日新聞朝刊に、「首相指揮権明記へ 自民改憲本部 自衛隊文民統制」という記事が載っていた。
〈自民党憲法改正推進本部は、憲法改正で自衛隊の存在を書き込む場合、首相が自衛隊の最高指揮権を持つと明記する調整に入った。シビリアンコントロール(文民統制)を明確にするためで、自衛隊を国会の統制下に置くことも明示する方向だ〉という。
「自衛隊を憲法に明記しても、なんら(彼らの活動が)変わることはない」
そう首相はいっている。となると、なんら変わることはないのに、なぜ莫大な金をかけて国民投票を行おうとするのだ、という疑問があった。
「今のままだと憲法違反だから」という人もいるが、今更そんなことをいう国民がたくさんいるのか? 自衛隊は我々多くの国民に愛されている。国民の多くは、自衛隊を憲法違反だと思ってはいないんじゃないか。
自衛隊のことを思って、憲法に明記するという安倍政権。けど、ほんとうに自衛隊のことを思って、そうしたいのだろうか。
もし、ほんとうにそうであるなら、米国に乞われたら、自衛隊を簡単に海外の戦争に出せるようなことは考えない。彼らを消耗品の武器などとおなじように扱わない。
しかし、どうなっているのか、安倍首相が熱くなっている憲法改正に反対すると、自衛隊を憎んでいる人のようなレッテルを貼られてしまう。