男性陣によるロマン歌謡的なコーラスに始まる「Cheeseな気持ち」はソウル歌謡風。恋を重ねてきた“それなりに オトナの私”が、チーズのようにとろける恋がしたいと歌う求愛の歌で、イリアのねだるような甘い歌声はオトナの女の妖しい色気がムンムン。“裂けるのじゃダメダメ”というオチが笑いを誘う。

「DOT」はディスコ・スタイルのテクノ風。かつてのニュー・ウェイヴがよみがえるような演奏展開だ。“「昨日とは別人」と 言われちゃっても カラフルに生きればいい~思い出を語るのも 悪くないけど めくるめく 瞬間に触れていたいの”と、前向きな姿勢を見せながら、したたかで欲深な思いも見え隠れする。

「Peanuts」は一転して、甘い歌声でやさしく語りかける。一つの殻に収まっていたピーナツが神様によって二つに分けられ、分かれたピーナツを探し求める切ないバラードだ。

「ハイブリッドその後」は名曲「恋はベンチシート」の続編。「恋は~」は、あなたの自慢のクーペは狭すぎて体をひねって口づけするとすじが違いそうだからベンチシートの車にして、という歌だったが、ジューシィ・ハーフ時代にその続編にあたる「ハイブリッドにしてね」という歌を書いたとか。ハイブリッドも当たり前になった時代に合わせて作ったのが「ハイブリッドその後」だ。

 そんなことから件の悩ましげなせりふも“これからはECOだって思ってるの”と、“私”にも“地球”にもやさしい“電気の車にしてね”とおねだり。おまけにベンチシートじゃなくても肩に手を回せるはずだからと自動運転の車をリクエスト!

「Twin Outlaws」は、リード・ギター・バトルが繰り広げられるストレートなハード・ロック・ナンバー。ガール・ロック的なスタイルで、イリアは若々しくはつらつとした歌いぶりを披露している。

「青いワンピース」はアイドル歌謡風。イリアの歌いぶりもアイドル風で愛くるしい。ところがその歌詞では、“花は見るだけじゃなくて 匂ってみたり 手折ってほしいものなの もうわかるでしょ?”と、優柔不断で遠慮がちな男をけしかける女性が主人公。“誰かと楽しかったの 全部忘れた”“不誠実で気が散ったり 戒め受けてるようなブルー”とうそぶくような歌詞、カマトト風も入り交じった歌いぶりに恐れ入る。

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