
毎月振るサイコロの目で給料の一部を決めるなど、ユニークな経営で知られる面白法人カヤック(神奈川県鎌倉市)。広告会社のように社内にコピーライターがいて、「コピー部」という部署があるIT企業も珍しい。ネット時代は、検索対象となるかどうかの“言葉力”がカギを握る。経営で言葉の力を重視しているという柳澤大輔CEOに思いを聞いた。
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カヤック社は、スマホゲーム「ぼくらの甲子園!ポケット」や、ネット上のITコンテンツの企画制作などが事業の柱。創業時から面白法人と掲げ、“つくる人を増やす”というユニークな経営理念を打ち出す。めざすは、面白さのトップ企業。柳澤氏は会社経営への思いをこう語る。
「言葉の持つ力を信じていて、言葉が活動をかたちづくると考えています。起業の際、信念や美学のある会社にしたいと思いました。その思いが面白法人という言葉。楽しんで仕事し、周囲からも面白がられる存在になる。さらに、面白がる人を増やし、誰かの人生を面白くしたい。どうすれば、面白がる人を増やせるのか。我々はクリエーター中心の会社なので、行き着いたのが、今の経営理念でした」
つくるとは、主体性を持つことを意味する。社員が自ら会社をつくっていると実感でき、つくることでだれかに感動を与えられるような会社をめざしているという。
面白法人の文化を浸透させる一つの方法が、ユニークな評価制度。社員が振るサイコロの目で給与額の一部を決める〝サイコロ給〟を設けている。社員に面白がってもらうとともに、人の評価はいい加減な面もあるから気にしないで、という思いも込めている。
“面白法人”“サイコロ給”などの言葉は、社外への発信を意識した名称。こうしたユニークな言葉から、面白さがにじみ出る。言葉は、コピーライターの集う部署「コピー部」や柳澤氏が生み出しているという。
なぜ、IT企業にコピー部があるのかを尋ねると、こんな答えが返ってきた。