ポール・マッカートニー、細野晴臣、藤子不二雄をこよなく愛し、カントリー・テイストのポップスを追究する前田卓朗のソロ・ユニット“ポニーのヒサミツ”が注目を集めている。東京のインディーズ・シーンでも異色の存在だ。
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1月17日、漫画“レコスケくん”で知られる本秀康が主宰する雷音レコードからシングル「そらまめのうた」を発表。同24日にはニュー・アルバム『The Peanut Vendors』を出した。無名の新人ながら、キッチュでモンドなカントリー・テイストが話題になった『休日のレコード』(2013年)以来のアルバムだ。
「そらまめのうた」は、長野県の牧場にいるミニチュアホース(雌)について歌っている。ポール・マッカートニーの「故郷のこころ」を下敷きにしたといい、ほのぼのとしたユーモラスなカントリー・テイストに仕上げている。シングルとアルバムは別バージョンだ。
「羊を盗め」は、サポート・メンバーの唐沢隆太のドラミング、芦田勇人のペダル・スティール、サボテン楽団こと服部成也のギターが光るアップテンポのカントリー・ナンバー。演奏は牧歌的だが、本人が“睡眠と性欲の歌です”と語る通り、幸せそうに隣で眠っている“君”を起こし、“満たしておくれ”“膨らむ思いを君に見せつけてやる”と性的な欲望をあからさまに歌っている。
アルバムの1曲目に配した「遠吠え」は、細野晴臣の「ろっかばいまいべいびい」が下敷き。細野への敬愛を物語る曲だ。隣家の犬の遠吠えで朝の目覚めを迎えるという内容で、聴き手の笑いを誘う。
前田卓朗は1986年、神奈川県で生まれた。父親の影響もあって早くから音楽に親しみ、最初に好きになったのがザ・ビートルズ。中3のとき、小遣いをためて初めて買ったアルバムは『ホワイト・アルバム』だった。とりわけポール・マッカートニーに心酔。ジョンはかっこよすぎて自分にはまねできないと思ってやめたとのこと。
はっぴいえんどを知って以来、細野晴臣に惹かれ、その足跡をたどってきた。カントリーに興味を持ったのも、細野の『FLYING SAUCER 1947』がきっかけだった。