「無口で騒ぐこともなく、本当にまじめ。怪我をした後も、恐怖心がふっきれるまで練習を続けるんです。スノーボードが大好きでたまらないんでしょうね」
誰にでもできる技ではなく、自分だけの技を作りたい。そんな思いを見せつけたのは決勝の舞台だった。
前日の予選では3位。「予選なので、まだ出していない技も決勝にとりためている」と語った通り、大舞台で縦2回転、横4回転の大技「ダブルコーク1440」に果敢にチャレンジし、連続成功。五輪史上初の快挙に、会場のフェニックススノーパークは大歓声に包まれた。
高橋さんは大きく成長した平野を見て、これまでの歩みを思い出していた。
「私自身、ハーフパイプを四苦八苦しながら整備していたので、挑戦し続ける歩夢とともに私も成長させてもらったという気持ちです。息子や孫といった感じよりも、同士だと思っています」
“同士”の雄姿はスキー場そばのパブリックビューイングで目に焼き付けた。