そして、この国の弱者の命と生活を守る生活保護費を削るといえば、あれだけうまくいっていると豪語していたアベノミクスがうまくいっていないことを吐露することになる。

 いやぁ、志位さん、見事。蟻地獄のような質問だわ。

 ズバッということはズバッというしな。政府の進める「働き方改革」は、労働者側ではなく、財界側の立場に立った「働かせ方大改悪」だ、とかさ。廃炉の費用、「核のゴミ」の処理費用など子々孫々まで巨額の費用を押し付けるのが原発だ、とか。

 年明けに立てつづけに起きた沖縄での米軍機事故については、学校、保育園、病院などの上空は一切飛行しないことを厳重に約束させるべき、そうはっきり言い切った。米軍の言い分をうのみにし、飛行再開を容認しつづけてきたことに対しては、「総理、これで主権国家の政府といえますか!」と。

 志位さんの質問に対し、安倍総理は始終、ごまかし回答。ま、いつものこと。

 NHKは安倍さんと仲良しなんだから、安倍さんに登場していただいて、質問にきちんと答えさせる番組をやってよ。国民のために。

 その際、今回の志位さんの質問は、短くて的確で、使いやすいと思う。使わせてとお願いしたら、気軽に「どうぞ」といってくれるんじゃないか。……問題は、やはりアベだな。

週刊朝日 2018年2月16日号

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室井佑月

室井佑月

室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。「しがみつく女」をまとめた「この国は、変われないの?」(新日本出版社)が発売中

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