待機児童の増加が社会問題化しているさなか、本誌(オンライン版16日付)のスクープで東京都多摩市の職員も子供が“優遇”されて保育園に入所し、裁判沙汰になっていることが明るみになった。児童の入所選考や保育園の補助金交付を担当する「子育て支援課」の課長(当時)が働きかけ、同僚職員の0歳児を2014年12月、第1希望の認可保育園に入所させていたというものだ。
1月18日の記者会見で、この問題を報道陣から追及された阿部裕行同市長は「非常に慎重に対応する配慮に欠けていたということから、問題があったと私も認識しております」などと発言した。
さらに本誌が入手した同市の内部資料により、新たな問題も浮上している。同市は16年2月、「子育て支援課」の元職員の内部告発を受け、第三者の立場にある古川健太郎弁護士に見解を求めていた。古川弁護士は同年5月、多摩市長宛てに「調査結果報告書」(16年5月27日付)を提出。古川弁護士は報告書の中でこれらの行為を「裁量権を逸脱」「違法」などと指摘していたが、同市は一切、公表していなかった。
報告書は、定員の空きがない保育園に課長が直接電話し、入所を要請した問題について検証。〈本件児童を本件保育所に入所させたことは、多摩市職員に対する特段の便宜に該当すると評価せざるを得ない〉と明記している。
保育園側は、同僚職員の0歳児を受け入れた結果、多摩市の補助金である「0歳児加算額」の交付が受けられる〝面積要件〟の「0歳児1人当たり5平方メートル以上」の基準を下回った。にもかかわらず、補助金の交付は継続されたことについて、報告書ではこう指摘されていた。
〈合理的裁量権を逸脱した違法な支出である〉
さらに、古川弁護士は報告書で保育園への補助金交付について次のように意見を述べていた。
〈重大な手続違反があり違法な支出であるから、多摩市においては早急に返還の要否を検討すべきである〉