「サルやイノシシが出るような自然の中で自由に遊んで、わんぱくに育ちました。冒険をしたり秘密基地を作ったりしていました。近所の柿を袋いっぱい勝手にとって、親にお尻をたたかれたり、田んぼに入って靴をなくしたり」
笑いながらこう続けた。
「子どもって、好奇心が抑えられずに悪いことしちゃうじゃないですか。純粋におもしろいな、楽しいなって。自分の行動力とか、向こう見ずな性格とか、怖いもの知らずのところは、自然いっぱいの町で育まれたように思います」
音楽との出会いも神河町にあった。町役場の「おじさん」が公民館にいろんな楽器を置き、子どもたちに自由に使わせ、教えてもいた。小6のときにそこでギターを触ると、すぐにのめり込んだ。中学生になると、毎日のように通い、仲間とバンドをつくった。
「最初はボーカル。でも、そのおじさんが『バンドの華はギターだ』っていうので、途中からギターに。目立ちたがり屋だったんです。大塚愛さんの『さくらんぼ』とか、フィンガー5の『学園天国』などをコピーしていました」
バンドをきっかけに矢野顕子や忌野清志郎といった先達の歌い方、弾き方、そして生き方を知った。CDデビューは昨年だったが、音楽のキャリアは10年以上あるのだ。
「創作あーちすと」の18年は音楽で始動した。1月1日、2作目のシングル「RUN!!!」を発売。編曲したのは、「あまちゃん」のテーマ曲を手がけた大友良英だ。春には初のアルバムを出す予定もある。
「アルバムを出したら、ツアーもしたいですね。大きな夢ですが、世界ツアーを目標に掲げているんです」
瞳をキラキラさせ、そう語る。朝ドラで全国のお茶の間の人気をさらった、あの笑顔である。そのとろけるような微笑みをもっともっと多くの人に届けてほしい。
──女優業も今後……。
「私、女優なので!(笑)」
彼女がメインストリームに戻ってくるのを心待ちにする潜在的なファンは全国津々浦々にいる。そんな人たちの期待にも応えてくれそうだ。このほど企画が発表された映画「のんたれ」もその一つ。彼女自身が演技だけでなく、監督、編集、脚本を担う。公開時期は未定だが、今年中に動画配信される予定という。
平成最後となる今年、25歳を迎える。昨年まいた多種多様な種が芽を出し、大きく枝葉を広げるビッグ・イヤーとなるか。
「すごいですね、圧が(笑)。ヤバい。25歳になるというのに危機感がないってのはダメなんですかね。うん、じゃあ危機感を持つということを目標に掲げます(笑)。今が思春期だと思っていますので、今年は成人できるようにがんばります(笑)」
(構成/本誌・吉崎洋夫)
※週刊朝日 2018年1月19日号
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