ウェブを使った新しいジャーナリズムの実践者として知られるジャーナリストでメディア・アクティビストの津田大介氏。アマゾン、グーグル間で起きた“対立”について解説する。
【話しかけることで様々な操作ができるグーグルのスマートスピーカー】
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テレビに接続することで、ネットフリックスやフールーといった映像配信サービスやユーチューブなどの動画サイトを、パソコンなしで簡単に楽しむことができるスマートテレビデバイスがじわじわと家庭に浸透してきている。アップルの「アップルTV」やアマゾンの「ファイアTV」、グーグルの「クロームキャスト」などだ。しかし、競争が激化するなかアマゾンとグーグルが「場外乱闘」を始めている。
2017年12月5日、グーグルはファイアTVへのユーチューブサービスの提供を停止すると発表した。18年1月1日以降、ファイアTVのユーチューブアプリから動画を視聴できなくなるという。グーグルはその理由について、アマゾンがグーグルの製品やサービスを不当に扱っており「信頼関係が失われている以上、ユーチューブを提供できない」と説明している。
アマゾンは自社のネット通販で、ネットとテレビをつなぐ「クロームキャスト」やスマートスピーカー「グーグルホーム」などのグーグル製品、グーグル子会社のネストのサーモスタット製品などを取り扱っていない。アマゾンマーケットプレイスでの第三者による販売も許可していない。アマゾンがプライム会員向けに提供する「プライム・ビデオ」も、グーグルのクロームキャストでは利用できないようにしているという。つまり、アマゾンが自社プラットフォームで競合している製品やサービスを扱っていないというわけだ。
ユーチューブサービスの提供停止に対し、アマゾンは強く反発。「グーグルはオープンであるべきウェブサイトへのアクセスを選択的に遮断する悪(あ)しき前例を作ろうとしている」との声明を発表した。