田原:線引きしないと、どこまでも拡大してしまうことになりますね。

枝野:専守防衛で、日本の領土領海から外に出ては戦わないとすれば、一応そこで線は引けるんです。集団的自衛権と個別的自衛権の境界線はあいまいな部分はありますが。

田原:枝野さんは13年の文藝春秋に「私的改憲案」を寄稿されていますね。集団的自衛権について憲法に明記することも提案されています。安倍首相の改憲案に対して立憲民主党が対案を出して議論するということはありますか。

枝野:あの論文で僕が集団的自衛権を認めていたじゃないかと無茶なことを言う人がいますが、あれは個別的自衛権のぎりぎりの範囲内を書いたもので、きちんと読んでもらえばわかります。憲法学者らも概ね、そういう評価です。そうした案を持っておく必要はあるでしょうが、現状では安倍首相の主張と同じ土俵に乗って議論する価値はないと考えます。そもそも私の案に基づいたら、自動的に今の安保法制を変えなければならなくなりますから。

田原:ところで、世論調査を見ると今の若者は自民党支持が非常に多く、10代、20代の4割以上が自民党支持だという。これはなぜですか。僕らが若いころは、若者はほとんど反自民だった。

枝野:いえいえ、僕の時代はもう違いますよ。私も反権威ではありましたが、反権力ではなかった。僕らの世代の多くは完全にノンポリ、つまり政治に無関心です。そういう意味では今の若者も反権力ではなく、反政治に回っている。政治全体に反発し、投票に行かないのがかっこいい、みたいな話になっている。

田原:だから棄権するわけね。そうした人たちを投票に行かせて、枝野さんたちの党に投票させるにはどうしたらいい?

枝野:僕らのターゲットはまさにそうした人たちです。若者に届きやすいネットの世界がこれまでわれわれと反対側の人たちに席巻されていましたが、社会状況の変化なのか、こちらも互角に戦える土壌になってきたと感じています。

田原:立憲民主党も、衆院選ではツイッターを通じた動画などの情報発信や、支持の広がりが注目されましたね。

枝野:今後、そこを通じてどういうメッセージを発信できるかが問われている。新しい党だからこそ、挑戦ができるんです。衆院選で使ったツイッターも、民進党で公式にやろうとしたら3年はかかったと思います。小さな政党だからできることです。
田原:19年には参院選挙がある。18年のうちにどれだけ支持を伸ばせるか。大事な年になりますね。

枝野:政治から遠かった人たちにどう近づきやすさを示して、支持を広げるか。この春までは、それが最大のテーマだと考えています。

田原:これからが楽しみですね。期待しています。

(構成/本誌・小泉耕平)

週刊朝日  2018年1月5-12日合併号より抜粋

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