「今作では運命によって、(新キャラクターの)ローズと一緒に戦うことになるんだ」

 たしかにその言葉通りに、フィンはローズとともに動く。前作でレイとの間に芽生えた恋の行方を期待するファンにとって、それは予想外の展開のはず。しかしフィンとローズの心理を重ねれば、二人の行動に違和感は覚えない。フィンならばこうするだろうと納得できる動きだったから。

 実父のハン・ソロを殺したカイロ・レンは苦悩する。前作の最後で、フォースが覚醒したばかりのレイに敗れるという無様さを見せたカイロ・レンだったが、今回は苦悩の末に強さを獲得。そのうえで取った行動は意表を突くものだ。しかし彼の心理がきちんと描かれているだけに、これまた、決して不自然な行動ではない。

 もちろん、ルーク、レイア、レイ、ポー、さらにチューバッカも、進むべき道を選んでいる。

 爽快感の二つ目の理由は、「若者」の物語であることだ。

 前作でルーク、ハン・ソロ、レイアの3人が揃って登場したことで、どうしても大御所3人の動きに一喜一憂することになった事実は否めない。40年前に熱狂したファンであれば、それも当然のことだろう。

 しかし今作を観て、改めて気づかされる。スター・ウォーズは若者が希望を求め、掴む物語であることを。

 そもそも最初の3部作の主役は、間違いなく若きルーク、ハン・ソロ、レイアだった。オビ=ワンもヨーダも、あくまで主役を導く役だったのだ。

 レイ、カイロ・レン、ポー、フィン、ローズ……彼らが悩みながらも信念にのっとって突き進む姿は、まるでエピソード4~6を思わせて清々しい。

 そして3つ目。スピード感あふれる映像とスリリングな展開は、シリーズ全作の中で群を抜いている。冒頭のシーンだけで、空中戦好きは恍惚を覚えるだろう。ミレニアム・ファルコン&Xウィングとタイファイターの戦いに、手に汗握ったあの頃を思い出す。

 こまごまとした予想は、ことごとく覆されてしまう。しかし終わってみれば、これまでのスター・ウォーズをきちんと踏襲し、誰もが納得できる作りとなっている。オタク監督、恐るべし!(本誌・菊地武顕)

※週刊朝日オンライン限定記事

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