人通りの少ないハドソン・ストリートにポツンと灯るジャズ・ギャラリーの灯り
人通りの少ないハドソン・ストリートにポツンと灯るジャズ・ギャラリーの灯り
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父と母のスピリットとDNAを継承する、ラヴィ・コルトレーン(ts)
父と母のスピリットとDNAを継承する、ラヴィ・コルトレーン(ts)
大西順子(p)も昨年久々の全米リリース・アルバムのショウ・ケースを、ジャズ・ギャラリーで開催した
大西順子(p)も昨年久々の全米リリース・アルバムのショウ・ケースを、ジャズ・ギャラリーで開催した

 トライベッカと、ソーホーの外れに位置する、ジャズ・ギャラリー。お酒や食事と共に、音楽を愉しむ、通常のクラブとは趣はちがうが、熱い演奏はどこにも負けない、異色のライヴ・スペースである。

 1995年に、当時ロイ・ハーグローヴ(tp)のマネージャーを務めていた、前主宰者のデイル・フィッツジェラルドにより、オープンした。元々はハーグローヴが深夜でも練習が出来るロフトとして借りたスペースだったのだが、諸事情から住宅としては使えなくなり、急遽、文化人類学者でもあるフィッツジェラルドが長年暖めていた、ジャズ・ミュージックを音楽だけでなく、絵画、写真、彫刻から表現する作品や、ニューヨークのジャズ・シーンをかつて彩ったクラブの看板や、備品などのコレクションの展示を中心とした、非営利のカルチュアル・センターとして始まった。

 オープン当初は、伝説のピアノ・ジャズ・クラブだった、「ブラッドリーズ」で弾かれていたピアノと、カーメン・マクレエ(vo)の自宅のピアノがコレクションとしてあり、ギャラリー・ショウのオープニングには、ピアノ・デュオが演奏されたりはしたが、展示がメインだった。しかし、数年後から、スタンスをライヴ・パフォーマンスにシフトしてきた。ニューヨーク州と市の文化芸術局や、国立芸術院からの支援、一般篤志家の寄付を受け、若手ミュージシャンに、リハーサル・スペースや、製作資金そして、プレミア演奏発表の場を提供し、この10年以上に渡って、シーンに多くの才能を、送り出してきた。

 基本的には、木曜から土曜にかけてライヴを開催。また月曜には、異能のプレイヤー、スティーヴ・コールマン(as)によるワークショップが、長年開催されている。グラスがふれあう雑音や、行き交うウェイトレスや、キャッシャーの音に悩まされることなく、音楽に集中して、カッティング・エッジな若手の演奏に触れられる、貴重なスペースである。

■The Jazz Gallery (ザ・ジャズ・ギャラリー)
290 Hudson Street (Spring Street)
New York, NY 10013
http://www.jazzgallery.org/
tel. 212.242-1063(要予約)
9:00PM~12:30PM日曜定休、火、水は不定期オープン、要スケジュール確認
9:00PM、10:30PMの2セット

<筆者・常盤武彦氏からのお知らせ>
2010年春から、東京、横浜、ニューヨークで開催し、好評をいただいております、Photo & Talk Session。この秋は、10/27より本、鳥取、神戸、名古屋の西日本ツアー、そして11/6にはアップル・ストア銀座で開催させていただくことになりました。この春、夏に撮影した作品や、前回、前々回ご紹介できなかった、いくつかの新作と、旧作のコンビネーションで、お楽しみいただきます。ぜひふるってご参加下さい。会場で皆様にお目にかかれるのを楽しみにしております。
詳しくは、こちら→
http://tokiwaphoto.hippy.jp/Tak._Tokiwa_Photography_Website/Event.html