この華々しく派手なハード・ロック・ナンバーは、カントリー・ロック・バンドと見られていたイーグルスのイメージを一新させた。完璧主義を貫いた演奏だけでなく、哲学的な歌詞も話題となった。

 砂漠を走るハイウェーのはるか遠くに見えるかすかなの地平線が輝いているのが見えて、頭の中でハリウッドや自分のあらゆるイメージがグルグル回り出してくる。そういうことを歌った曲だった」と、自身の体験が重ねられていると触れている。

 もっとも、ドン・ヘンリーが描いたのは、休息を求めた旅人がたどり着いた“ホテル”であり、目の当たりにした光景だった。

 現れた一人の女に誘われ中に入ると、中庭で“想い出のため、忘れるため”に踊る人々。キャプテンにワインを求めたところ、“1969年からというものスピリットは一切置いてありません”という答えが返ってくる。

 スピリットという言葉には蒸留酒という意味もある。“酒”と“精神”をかけた巧みな比喩から、イーグルスが「ホテル・カリフォルニア」に託した意味が解き明かされる。

 それは“愛と平和”を求め、反戦運動に立ち上がった60年代の終焉を告げていた。“ホテル・カリフォルニア”は虚飾に満ちたハリウッドそのものであり、その仮面をはがしたのだった。アメリカにあって最後のフロンティアとされたカリフォルニアの現実は、消費社会がもたらした繁栄と栄華を謳歌するアメリカを象徴するものだった。

「ホテル・カリフォルニア」がアルバムのコンセプトとなり、新たな曲が書き加えられていった。「ニュー・キッド・イン・タウン」が持つ“街の噂”というテーマも、アルバムのコンセプトとリンクしていた。

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