血圧サージが起こっているか調べる方法もある。「24時間血圧(ABPM)」だ。高血圧を専門とする医療機関で受けられる検査で、これも公的医療保険が使える。苅尾医師によると、上の血圧の最も低い値と高い値の差が55以上だと、危険なサージが起こっている可能性が高いそうだ。

 ABPMを測定するのがむずかしい場合は、家庭血圧計を有効活用しよう。測り方は、朝、起床後1時間以内の朝食や服薬前に、トイレを済ませてから1~2分イスに座って安静にして測る。1度に2回測定してその平均を取る。これだけでは実際に血圧サージが起きたかわからないが、早朝に血圧が高く、日々の差が20以上の場合は、その危険性があるという。

 自身の動脈硬化やその誘因、大きな血圧変動の有無がわかったら、予防に生かすことが大事だ。

「ぜひ、結果をしっかり分析してほしい。人によって血圧サージが起こる誘因は違います。ですので、24時間血圧をみて、どんなときにどんな行動をとったらサージが起こったのか、“魔のサージ行動・時間”をしっかりチェックし、そういう行動はなるべく控えるようにするなどの対応をしましょう」(苅尾医師)

 血管年齢が高い、つまり動脈硬化が進んでいる人はどうしたらいいか。

「多くの人は、動脈硬化は治らないと思っています。確かに内皮の加齢による変化の改善や、一度できてしまったプラークの除去はできません。しかし、ゴワゴワした皮膚を保湿剤で柔らかくできるように、血管の柔らかさを取り戻すことは可能です」(同)

 そのためには、糖尿病や脂質異常症、睡眠時無呼吸症候群などの持病をしっかりコントロールすること。減塩や禁煙、節酒に努め、ウォーキングなどの運動をして、積極的に野菜やくだものをとろう。肥満を指摘されている人は、減量から始めたい。6時間以上の良質な睡眠も大事だ。

「最近は、歯周病菌や腸内細菌が動脈硬化の進行に影響を及ぼしていることが指摘されています。口腔ケアをしっかりし、歯周病を予防することも重要と考えられています」(梅村医師)

 続いて、トリガーを避ける工夫について。桑島医師、梅村医師がポイントを挙げてくれた。それが図表の10カ条だ。

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