著名人がその人生において最も記憶に残る食を紹介する連載「人生の晩餐」。今回、華道家の假屋崎省吾さんが選んだのは目白 大村庵の「上カツ丼」だ。
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華道家というと草食系のイメージで見られがちですが、私はこう見えて食は肉食系。オトコの中のオトコです。花は全身全霊を捧げていけるから、ものすごくエネルギーを使うんですよ。だから若い頃は、よく肉を食べました。なかでも小さい頃からトンカツが大好き。忙しい時もさっと食べられて、ご馳走気分が味わえるので。
いまから19年前、目白の蕉雨園をお借りして、作品集の撮影をしていた時のこと。お昼にカツ丼が食べたいとリクエストしたら、出前でとっていただいたのがこちら。
食べる前からワクワクして、フタをあけてびっくり! トンカツが桁外れの豪快さで、ご飯の上にドーンッと横たわっていて、しかも食べたら肉が分厚いこと。カツに卵とタレがいい具合に絡んで大満足のお味だったのを、いまでも忘れません。食べたあと思わず、さあ、撮影がんばろう!って気になりましたね。おかげさまで本は大増刷で私の代表作に。このカツ丼には感謝の気持ちでいっぱいです。
「目白 大村庵」東京都豊島区高田1-37-9/営業時間:11:00~15:00、16:30~20:00/定休日:木
※週刊朝日 2017年11月10日号