精液検査を希望する人に送られるキット。精液を入れる袋や生活習慣の質問票などが同封されている
精液検査を希望する人に送られるキット。精液を入れる袋や生活習慣の質問票などが同封されている

「精液には男の近未来を予知する成分が含まれている」

 ベンチャー企業「ダンテ」(東京都)がこんなメッセージを掲げ、精液の分析事業に力を入れている。11月16日まで、クラウドファンディングで賛同者から資金を募り、精液の採取キットを送る。目標は、500以上の検体分析だ。

 ダンテの経営陣には、男性医学、生殖学、検査開発の専門家が名を連ねる。精液を調べると、どんなことがわかるのか。瀧本陽介代表取締役はこう説明する。

「精液は、体力の低下や男性ホルモンの量などを反映します。成分を分析すると、体調などがわかるのではと考えています。また、精子の運動性も精液によってわかります。元気よくまっすぐ泳いでいるか、といった質がわかれば、不妊治療にも役立つと思います」

 ブタなど家畜の生殖研究で精子の運動性を調べたところ、健康な家畜の精液中の精子はまっすぐ泳いでいた。一方で、夏の暑さで疲労した家畜やえさの状態が悪い家畜は、精子が道草を食い、まっすぐ泳いでいない傾向がみられたという。

 検査項目は、亜鉛、テストステロン(男性ホルモン)、スペルミン、クレアチン。採取キットには、生活習慣の質問票も入っている。精力剤や栄養ドリンクを飲むか、1日の睡眠時間、性的な興味が強い方だと思うか……など26の問いに答えてもらい、検査項目と合わせて分析する。

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秦正理

秦正理

ニュース週刊誌「AERA」記者。増刊「甲子園」の編集を週刊朝日時代から長年担当中。高校野球、バスケットボール、五輪など、スポーツを中心に増刊の編集にも携わっています。

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