辺:考えていれば、核実験とかミサイル乱射はしないと思います。やるほど在日朝鮮人が肩身の狭い思いをするのに、実際はおかまいなしですからね。トランプ氏と金正恩氏の考え方は似ていると思うんです。金正恩氏は、日本にいる数万人の在日朝鮮人よりも2600万人の本国の人民が大事だし、トランプ氏も3億2千万の米国民の命を守るためには、同盟国の日本、韓国が少々カスリ傷を負うのはしょうがないと思っているふしがある。
林:少々のカスリ傷はしょうがない!? そんな……。
辺:世論調査をすると、日本人がいちばんの脅威ととらえている国は北朝鮮なんですね。しかし、近隣諸国で、唯一日本との領土問題を抱えていない国が北朝鮮なんです。大きな資源紛争もなく、あるのは拉致問題だけです。でも、拉致問題で戦争なんてあり得ないですよね。
林:ええ。たしかにそうですね。
辺:ただし北朝鮮とアメリカが衝突すれば、日本は必然的に巻き込まれる。国際法的には朝鮮戦争は1953年から休戦状態のままでまだ終わっていないため、北朝鮮と米韓は依然として交戦状態にあるんです。北朝鮮とアメリカが衝突すれば在韓米軍が出陣する。在日米軍も日本の港や飛行場から出撃する。日本は日米安保条約に基づいて米軍に燃料、食料、医療、弾薬の補給もします。そうなると、北朝鮮が日本を攻撃対象にするのは避けられないと思います。
林:なんでこんなときにアメリカ大統領がトランプさんなのか。世界中が悪いクジを引いた感じがします。
辺:トランプ氏はしたたかです。今は「やるぞ、やるぞ」と言いながらもグッと我慢しています。ティラーソン国務長官は「外交的、平和的に解決する」と連呼していますが、この「解決」は、制裁か圧力をかけて北朝鮮をギブアップさせて、対話の場に引っ張り出すこと。国際社会もこれを支持しているんですね。
林:それができればいいですけど。
辺:同感です。しかし、トランプ氏とチキンレースをやっている金正恩氏にすれば、核もミサイルも捨てて会談の場に出るのは、完全降伏と同じです。だからその選択はない。ならば、米国は最後の手段として軍事力に訴えざるを得ない。