今回の衆院選で最大の波乱の舞台となりそうなのが首都・東京だ。小池百合子東京都知事と連携する「小池新党」が多くの選挙区で候補者を擁立するとみられ、自民党を歴史的大敗に追い込んだ7月の都議選のような“小池旋風”が吹き荒れる可能性があるのだ。
14年の衆院選では自民党は25の選挙区のうち22で当選を果たし圧勝したが、元共同通信記者でジャーナリストの野上忠興氏は選挙戦の構図次第では、半減の可能性もあり得るとの見方を示す。
「8区の伸晃氏と3区の宏高氏の石原兄弟のまさかの落選の可能性もないとは言えない。父・慎太郎元都知事の威光も失せて『石原ブランド』の神通力も大きく減殺されたうえ伸晃氏の“賞味期限”も切れ、伸び代がなくなっている。小池新党の候補者次第で注目選挙区になり得るでしょう」
兄の伸晃氏は党都連会長を務めていたが、昨年の都知事選で小池氏に惨敗し辞任。弟の宏高氏は14年の衆院選に約4千票差で辛勝しており今回も厳しい戦いになりそうだ。政治評論家・小林吉弥氏が語る。
「正直、存在感が乏しく、党内で居所を失っている感じ。相手の松原仁氏も盤石ではないが、こまめに地元を回っており有利でしょう」
また、加計学園問題で「総理のご意向」を文部科学省側に伝えたと指摘された24区の萩生田光一氏も当落線上のピンチだという。
「24区は学会票が約4万ほどであり、太田昭宏前公明党代表の地元・東京12区の次に多い。萩生田氏は安倍氏の側近中の側近。物議を醸す言動に加え、改憲を目指す安倍首相への学会婦人部の反発も影響し、学会票離れが進むだろう。対立候補次第では落選の可能性もある」(野上氏)
離党者が相次ぐ民進党は、東京でも厳しい戦いを強いられそうだ。22日には15区の柿沢未途氏が離党を検討中と報じられるなど、相変わらず安定感がない。そんな中、蓮舫前代表が衆院へのくら替えを模索しているとの観測もある。地元の5区などから出馬すれば話題を呼びそうだ。(本誌取材班=村上新太郎、亀井洋志、小泉耕平/西岡千史、横田 一)
※週刊朝日 2017年10月6日号