肌にオイルを塗って経皮吸収させると、細胞間脂質をつたって細胞の隅々まで水分を浸透できる。35歳を過ぎると、女性は皮脂量が一気に減る。小林さんは「オイル美容で肌の表面を柔らかくさせ、水分が入りやすい状態をつくることが大事です」という。

 化粧品会社「ハーバー研究所」美容部ビューティプロデューサーの廣森知恵子さん(63)も、35歳は肌の節目として注意を呼びかける。

「オイルをつけるだけで、素肌は変わる。男性もキレイになりますよ」

 男性は頭皮やひげそり後に口まわりに塗ったり、リップクリームの代わりに使うのもよいそうだ。

 同社が扱う天然由来のスクワラン100%のオイルは、酸化や油やけの心配がなく、夏でも安心して使えるという。廣森さんはオイルを常に持ち歩き、洗面所で手を洗った後にも使う。ハンドドライヤーで乾かすことは、手荒れのもとになるのですすめない。ぬれた手にオイルを一滴。タオルを使わなくても、自然乾燥でハンドクリームをつけた後のようにしっとりと仕上がる。

「ぬれた手にオイルを一滴つけると、シルクの手袋になるんです」

 前出の小林さんは「美の目利きたちが最終的にたどり着くのが、オイルです。だから美容誌は夏でも『オイル祭り』状態」と話す。オイル美容以上によい美容法を知らないから、「ここ(オイル美容)で止まる、もう浮気しない」。そんな現象が起きているという。

 美容業界紙「WWD BEAUTY」編集長の大出剛士さんも「オイル美容は今、確実に(ブームが)来ています。最近は技術や商品も進化し、べたつかずサラッとして、あっという間に肌に吸収されるものが多くて、非常に使いやすい」。

 2002年にニュージーランドで誕生した「トリロジー」は、現在、世界20カ国以上で40を超えるアイテムを販売する人気ブランドだ。日本にも08年に上陸し、日本でのオイルブームに火をつけた商品のひとつ。輸入代理店の「ピー・エス・インターナショナル」社によれば、「ローズヒップオイル」が人気で、生産が追いつかないほどという。

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