

身の回りのことがどうでもよくなり、放置してしまう「セルフ・ネグレクト」(自己放任)。もし、自分の親の異変に気づいたらどう対処すべきか、東邦大学看護学部教授の岸恵美子氏に聞いた。
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セルフ・ネグレクトは誰でもなる可能性があります。高齢者の場合、配偶者に先立たれたのを機に無気力になったり、認知症がきっかけになったりします。
ゴミを片付けられない。福祉や介護のサービスを拒否する。生活保護を受給せず、病院にも行こうとしない。人と関わらない。セルフ・ネグレクトの人たちは、こういう状態になります。
一人暮らしだと、民生委員や町内会の見守り対象です。ただ、老夫婦などで同居者がいると外れることもあり、注意が必要です。
異変をどう見つけ、福祉サービスにつなげるか。遠く離れて暮らす親のことが心配と、娘や息子の立場からの話もよく耳にします。
配偶者や親しい友人に先立たれた後は、特に注意して見守るとよいでしょう。
気をつけたいのは言葉遣い。心配のあまり、「汚いから着替えなさいよ」「ゴミだから捨てなさいよ」などと、上から目線の言い方をついしてしまいがちです。
くれぐれも「臭い」「汚い」「ゴミ」「捨てる」などの言葉は使ってはいけません。プライドを傷つけて意固地になってしまい、かえって逆効果です。