放送作家でコラムニストの山田美保子氏が楽屋の流行(はや)りモノを紹介する。今回は、芸能人が重宝する「個室レストラン」について。

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 芸能人御用達の飲食店は個室が充実しているところが多い。

 たとえば超高級焼き肉でおなじみの「游玄亭」は、畳敷き、掘りごたつスタイルの個室から、パーテーションで仕切られた半個室まで大充実。

 オープンなスペースに芸能人が必ず1組以上はいる

「アッピア」の西麻布店(アッピア・アルタ)には個室が増えたし、六本木ヒルズの「イルブリオ」も完全個室から予約が埋まっていくように思う。

 芸能人にも色々なタイプがいて、意外な人が「絶対に個室じゃないとイヤ」と頑(かたく)なだったり、老若男女、誰もが声をかけてしまいそうな有名人なのに、家族連れのときは子供に勘違いをさせないため、あえてフロア席を選ぶという考えの人もいたりする。

 もっとも明石家さんまさんのように、周囲が気を遣って個室をとっても、あの声のお陰で来店していることが店中にバレてしまうケースもある(苦笑)。

 そんな中、「すべて個室」が売りの「レストラン『彩季』」の新店舗が今年6月、日赤医療センター近くの西麻布にオープンした。

 私が知る限り、乃木坂→西麻布交差点から表参道に抜ける裏道→日赤通りから入った西麻布と移転は2回。乃木坂時代、初めてお邪魔したのは、あの叶姉妹さんのお誘いだった。

 忘れもしない。姉の恭子さんが、「ヘアのないヘアヌード写真集」を出した頃のこと。「海外セレブはブラジリアン・スタイルが常識なのです」とおっしゃり、キョトンとする私に「お見せしましょうか?」とドレスの裾をたくしあげたのが「彩季」の個室だった。

 丁重にお断りしたのだが、アンダーヘアを美しく剃毛したさまを連れに見せられるほどの“完全個室”ということなのである。

 実は「彩季」と言えば叶姉妹というぐらい二人は常連で、新店舗オープンの際も早々に駆けつけたと聞く。

新店舗は、2~14人まで利用できる完全個室が五つ。マイセンを始めとした高級皿に、屋号のとおり、季節の食材が彩り豊かに盛り付けられている。コースが基本だし、飲み物はバカラのグラスに注がれるワインが基本だが、予算や量の相談がしやすいのも「彩季」の特徴。飲食業界を知り尽くした支配人の高橋学さんが仕切る気取りのないサービスも心地よい。

 ギョーカイっぽい雰囲気の店ではないので、ビジネスの会合や、家族の記念日などにも使いやすい。予約者の株が上がることは間違いナシだ。

週刊朝日 2017年9月15日号