<女川にもロケに行きましたし、この子達にも会いに行きました。頑張り屋のしっかりした子達です>
またプロバスケットボール選手の大神雄子(山形県出身)が、本人役として登場。音楽は宮城県出身のシンガー・ソングライター、遊佐未森が担当する。
吉田プロデューサーはこう明かす。
「声優の人選は、東北ゆかりの人ということで声をかけさせていただきました。みなさんが『被災地のために何かできれば』と忙しいスケジュールをぬって参加してくれました」
特に山寺さんは、宮城県出身のアーティストらでつくる支援団体「みやぎびっきの会」の活動を通じて、主人公の5人のことを知っていたという。
「今回の番組に参加できたことを心から喜んでくれました。アフレコではスタジオに入ると開口一番、『この子たち、昔からよく知ってるんだよ! ずっと応援してたんだ。みんな大きくなったなぁ』と、まるで自分の子どものように話が止まらなかったぐらいです。ほかにも大神さんが出演シーンは短くても多忙なスケジュールを調整してくれるなど、みなさんの熱い思いに私たち制作者が支えられました」
アニメでは中学校を卒業した後の“今”にも触れるという。モデルの少女たちはどう思っているのだろうか。
取材してきた報道局スポーツ番組部の森渕靖隆ディレクターはこう言う。
「アニメ化の話を伝えた時は、『そんなことできるんですか!?』と、とにかく驚いていました。それと同時に、自分たちのこれまでの軌跡や思いが、より多くの人に届くことを喜んでいました。最後には、『実写より恥ずかしくないかも……。可愛く描いてくださいね!』といった冗談も言ってくれました」
最後の夏は5人にとって「漫画のような奇跡的な体験」。震災後もバスケをやりたいという気持ちをくんでくれた家族や、応援してくれた町の方々のおかげで最後まで走りきることができたという。
震災では1万8千人を超す死者・行方不明者が出た。6年たった今でも、多くの人が仮設住宅で生活している。アニメドキュメントによって、被災地から全国にどのような思いや感動が届くのか注目だ。(本誌・多田敏男)
※週刊朝日 オンライン限定記事