本誌のスクープをきっかけに、加計学園問題が新局面に突入した。
「週刊朝日」(2017年8月4日号)は、これまで安倍政権がひた隠しにしてきた2015年4月2日、今治市の企画課長と課長補佐が官邸を訪れて面会した相手をスクープ。その人物が経産省出身の柳瀬唯夫首相秘書官(当時・現在は経済産業審議官)だったことを明らかにした。
7月24日午前の衆院での閉会中審査では、渦中の柳瀬氏が参考人として出席。民進党の今井雅人衆院議員が面会の有無を確認したが、柳瀬氏は「お会いした記憶はございません」と回答。納得しない今井氏が「会った可能性はあるんですね」などと繰り返し問い詰めた。
柳瀬氏は「記憶に本当にございません」、「(当時は)相当広範なところを担当し、相当多くの方とお会いしていた。その中で、具体的にこの方とお会いしたという記憶がないところでございます」「覚えてございませんので、会っていたとも会っていないともお答えしようがございません」と繰り返すばかり。
議員からの野次が鳴りやまず、一時、審議がストップするなど、紛糾する事態となった。
柳瀬氏が今治市の担当者と会ったとされる15年4月は、加計学園が国家戦略特区の申請をする2カ月も前のこと。本誌が得た証言では、柳瀬氏は「希望に沿えるような方向で進んでいます」という主旨の発言をし、今治市では「絶対に誘致できる」と、お祝いムードだったという。かなり早い時期から官邸主導で「加計ありき」のレールが敷かれていた疑いがより強まったのだ。経産省関係者がこう語る。
「地方自治体の課長クラスが官邸に入ること自体あり得ず、官僚の目から見れば、それだけで何らかの不正な介入を疑うシチュエーションです。柳瀬氏は次の事務次官の目が残っているが、首相の最側近である今井尚哉首相秘書官とそりが合わず、苦労していた。現職の嶋田隆事務次官の任期を延ばされたり、次も嶋田氏の同期でたらい回しをされると、柳瀬氏の年次は飛ばされる可能性があり、微妙な立ち位置。安倍首相や今井尚哉首相秘書官には絶対に逆らえないはずです」