問題は、当時の蓮舫氏は17歳で、台湾では20歳未満の台湾籍離脱が認められていなかったことだ。一方、蓮舫氏は日本国籍を取得した時点で台湾籍を離脱したと認識していた。このときに蓮舫氏は二重国籍になったとみられる。だが、複数国籍を持つ日本人は珍しいわけではない。国籍法に詳しい近藤敦名城大教授は言う。
「国は、日本人の複数国籍者は50万人程度と説明していますが、国籍の選択を求める『催告』は一度も出していません。実際の人数はこれより多く、ブラジルのように国籍の離脱を認めていない国もあるからです。また、公的機関が国籍の離脱を求めるのは人権侵害になる可能性があるため、日本の国籍法は複数国籍を事実上認めていて、運用段階で柔軟に対応しているのが実情です」
なお、公職選挙法や内閣法では、複数国籍者が国会議員や大臣になることを禁止する規定はない。
仮に政治的な問題があるとすれば、蓮舫氏が台湾内の選挙で投票をするなど、台湾人として活動をしていた過去があった場合だが、具体的な話はない。
本人の意思で動かせない出自の問題で党内がゴタゴタしていることに、ある野党議員は「どっちに向かって鉄砲を撃っているのか……」とあきれ気味だ。(本誌・小泉耕平、西岡千史/今西憲)
※週刊朝日 2017年7月28日号