はなわさん(撮影/写真部・片山菜緒子)
はなわさん(撮影/写真部・片山菜緒子)
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 芸人・はなわが、妻にプレゼントした曲「お義父さん」は、SNSを中心に「泣ける」と共感を呼び、13年ぶりとなるCDも発売された。妻が2歳のころに別れて以来、会っていなかったという義父に、「いつか孫を見にきませんか、酒を飲み語りましょう」と語りかける歌だ。実は、歌のとおりに対面が実現する奇跡が起きていたという。はなわさんに音楽の持つ力について語ってもらった。

――はなわさん自身がこの歌の力を実感したときは?

 それはもう、嫁とお義父さんが、本当に会えたときです。実はこの歌を嫁に送る前に、親戚から嫁に連絡があったみたいなんです。「(義父が)末期がんで会ってもらえないか?」と。でも、嫁はその時、僕に迷惑がかかるからと断ったらしくて。

――その時点で、はなわさんがどんな歌を作っているか奥さんは知らなかった。

 そうです。連絡から1週間後に僕の歌を聴いた。そこで嫁は『これは父に会えということかな』と考え直したと聞いています。

――歌がきっかけとなって再開が実現。対面はどうでしたか。

 なぜか僕が一番泣いちゃって(笑)。奇跡を起こす、不思議な力のある歌だと思っています。

――「お義父さん」は、極めて個人的な歌。それでも聴いた人が感動するのはなぜでしょうか?

 そこが僕も驚いているところなんです。うちの家族の話なのに、皆さんが共感してくださった。「家族」は、誰にとっても変わらないものだからなのかもしれませんね。僕の理念は「人を元気にする」ですが、お手紙やコメントをいただいて、僕自身も元気にしてもらえた。自分たち家族だけの歌じゃないんだ、心をこめて歌っていかなきゃいけないなと思います。

――曲づくりはどのように進みましたか

 僕が親交のある、元ジュン・スカイ・ウォーカーズの寺岡呼人さんに「直接的なラブソングは、ちょっと照れくさくて悩んでる」と相談したら、「手紙みたいなのにしたら?」と言ってくれて。そしたら2日間くらいで作れちゃいました。最初からCD化を狙ったわけでもなく、純粋に嫁のために作りました。

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