33歳、独身、彼氏ナシの仲良し3人組が主人公でテレビドラマ化もされて人気を博した漫画『東京タラレバ娘』(講談社)だが、現実社会にも女性には「33歳の壁」があるらしい。33歳で結婚して、35歳までに出産するのが望ましいというのだが、結婚相談所へ駆け込んでとんでもない男性と出会ったかと思えば、「卵子の老化」情報に焦る男や親に振り回されることも……。彼女たちが追い求める“幸せ”はどこにあるのか。
竹村香織さん(仮名・33歳)は30歳から1年間のニューヨーク留学を終えて、念願のベンチャーキャピタルに転職した。2年間夢中で仕事をしてきた竹村さんはある日、前職の同期が集まる会で「33歳の女性の壁」を知る。
35歳以上の出産は「高齢出産」とされ、そのタイムテーブルとして33歳で結婚、34歳で妊娠、35歳前に出産するのが望ましいというのだ。だから、33歳は結婚のデッドラインとなり、壁となって立ちふさがるのだという。
「何かの冗談ではないかと思いました。ニューヨークの大学は世界各国から幅広い年齢の留学生が集まり、誰一人として年齢を尋ねません。自由な雰囲気の中で学び、恋をし、人生を謳歌(おうか)してきました」
竹村さんは留学前の29歳で結婚を焦り、婚活アプリで知り合った同じ年の都庁勤務の男性と結婚を前提に付き合った。だが公務員の彼と当時広告会社の営業職だった竹村さんとでは、生活時間がまるで異なり、ほどなく別れた。
「出産や育児を考えると、収入面でも余裕をもって家庭を築きたいです。そのためにもキャリアを身に着けようと留学したのに、なぜ33歳という年齢だけで結婚を焦らなければならないのか」と竹村さんは戸惑いを隠せない。
一方「33歳どころか、32歳の壁ですよ」とため息まじりの看護師・明石優さん(仮名・33歳)。31歳の時に母親に勧められて東京都中央区にある結婚相談所の説明会に参加したところ、「32歳から33歳までの1年間が勝負」と告げられた。「男女共に出身大学と高校を提示し、家柄を一つの大きな指標にしていました」。身元がはっきりわかることがウリの結婚相談所だった。
「31歳の今が頑張り時です!と目に見えないプレッシャーを感じました」(明石さん)
紹介されたのは大手一流企業勤務で同じ年の男性。男性の母親が明石さんと同じ医療関係者。家柄重視のマッチングだった。