チェキを売ろうとしても、ライブによってはファンが数人しか来ないときもある。

「この状況からワンランク上に行こうとすると、自分の力だけではなかなか難しい。さらに大規模にやろうと思うと、なにか別の力が必要。それが広告タイアップなのか、テレビや出版社と組んだ仕掛けなのかはわからないけれど、自分たちだけじゃ限界がある。ただ、そこを目指さないのであれば、現状でも回そうと思えば回せるんですね。ずっと同じ女の子でやっていくとなると、それもいずれ限界はきますけれど」

 華やかに見える彼女たちも楽ではない。アイドル活動だけで食べていけるのはごく少数だ。あるグループで活動歴が長い20代後半の女性はこう話す。

「金銭的には厳しいですね。例えばグループの1カ月の売り上げが仮に100万円だとしたら、半分は経費として引かれます。それからまた半分は運営サイドの取り分になって、残りの25万円をメンバーで分けるのですが、私たちは8人組なので1人3万円ちょっと。始めたばかりのころは売り上げが少なく、もらえるのが1人138円というときがあった。事務所の人に『振込手数料のほうが高いから来月分と一緒にしましょう』って言われました」

 生活のためにはアイドル活動とは別に、アルバイトをするしかない。

「実家の子はまだいいけれど、シェアハウスに住んでいる子もいます。みんなバイトしてますよ。うちは大人メンバーが多いから、スナックや居酒屋なんかでやってる子が多いかな。未成年の子はラーメン屋さんで働いています。あと“ギャラ飲み”っていうのがあって、ファンじゃない一般の男の人たちといっしょに飲みに行くと、帰りにタクシー代として1万円くらいもらえる。もちろん飲み代は向こう持ち。週に何回かギャラ飲みをすれば結構稼げます。うちのメンバーにはいないけど、他のアイドルさんでキャバクラとか風俗系のバイトしている子もいますよね」

 そんな厳しい状況でも続けていくのはなぜか?

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