目が離せなくなるほどの、猫たちの愛らしい表情や、自然な姿。動物写真家であり、猫写真でもおなじみの岩合光昭さんが、いったいどのようにして、素敵な写真の数々を撮影しているのか、覗かせてもらいました。
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寒さが染み入る2月の京都。朝4時に起き、6時にはホテルを出て撮影に向かった。40分後、猫がたくさん暮らしていることで知られる神社に到着。いつも猫たちが寝ているあたりを覗きながら、一匹一匹、名前を呼んで話しかける。岩合さんが猫たちにかける声は、とても穏やかだ。
「猫は、言葉じゃなくて音で理解する。安心させてあげるために、優しく声をかけるんです」
撮影中何度か、すべての猫が境内から姿を消してしまったが、その間も岩合さんは休まない。
「動物は演出がきかないからね。すべて猫さまの機嫌しだい。待つことは苦になりません」
そう笑って、約8時間、カメラで猫を追い続けた。
「撮っているとあっという間で、まったく気にならない。わっと思うような場面が撮れることは、年に数回しかないんですよ」
猫との距離が近い、あたたかな写真の数々は、深い愛情があってこそ生まれるのだと、改めて感じた一日でした。
※週刊朝日 2017年5月5-12日号