森友学園問題ですっかり“渦中の人”となった安倍晋三首相夫人の昭恵氏。証人喚問での籠池泰典氏の「安倍首相から100万円寄付」発言に対し、フェイスブック(FB)で反論したのが3月23日のこと。一連の騒動がこたえたのか、以来、FBを更新していなかった。ところが4月9日、友人とおぼしき男性の投稿に「いいね!」ボタンを押した形跡がうかがえる。
建設会社を経営する赤塚高仁氏という人物で、神秘的な世界をテーマにした数々の著書がある。4月9日、『ヤマト人への福音 教育勅語という祈り』という新作発売を自身のFBに投稿した。戦前・戦中の道徳や教育の基本方針として使われた「教育勅語」を同書は礼賛する。<素直な心で読めばこれ以上の教えがあり得ないことはわかるはず>などとつづっている。赤塚氏と昭恵氏がともに納まっている写真もネットに上がっている。
個人が教育勅語をあがめようと人生の指針としようと自由だろう。しかし、政府が政治的に再評価するかのような動きは別問題だ。
政府は3月、教育勅語について「憲法や教育基本法に反しないような形で教材として用いることまでは否定されない」とする答弁書を閣議決定した。義家弘介・文部科学副大臣は、幼稚園などの朝礼で朗読することについて、「教育基本法に反しない限りは問題のない行為であろうと思う」と答弁した。どのような場合に反するのか、具体的な説明はないままだ。
慶応義塾大学名誉教授の小林節氏(憲法学)が怒りを込めて語る。
「主権者たる明治天皇が支配する臣民(国民)に対して意思表示をするという形式自体がアウトで、もろに憲法違反です」
教育勅語は1890年、明治天皇が国民に守るべき徳目を説いた「お言葉」として発布された。
小林氏が続ける。
「安倍首相は多数におごり、法治主義を否定している。自らが朕になっちゃって『俺が法だ』と言わんばかりの人治主義になっています。周りの政治家も官僚もそれに追従し、本当に危険な段階に入っています」