その文氏は、「当選したらまず平壌に行く」と金正恩朝鮮労働党委員長と対話の用意があるような発言など失言も続く。ただ、17日の世論調査(ソウル新聞など)では、大統領候補者支持率の4位までを野党候補者が占めるなど「野党有利の形勢は容易に動く気配はない」(別の韓国紙記者)。野党候補者は皆、慰安婦合意については再交渉という立場。今後、日本に厳しい外交が待ち受けているのは確かだ。
一方、民間人となった朴前大統領には検察による捜査が始まった。韓国紙の別の記者が言う。
「私邸に戻って4日目に、出頭命令が通知されるなどソウル中央地検は捜査の速度を上げています。検察は大選への影響を最小限にとどめるために今月末までに結果を出したいようです」
朴氏にかけられた容疑は収賄罪など13件。「真実は必ず明らかになると信じている」とコメントを発表したが、歴代大統領11人のうち4人が検察の取り調べを受ける悲劇がまた繰り返された韓国。弾劾による国民分裂、大統領選の葛藤、事件の行方と混乱はまだ続く。(菅野朋子)
※週刊朝日 2017年3月31日号