「財務省側は籠池氏に対し、迫田英典氏が理財局長である間に話を進めたほうがいいと言っていたらしい」
迫田氏といえば安倍首相と同じ山口県出身で、15年7月に理財局長に就任。16年6月17日には国税庁長官に出世している。
確かに迫田氏の在任中、物事が森友学園の思惑どおりに運んだようにみえる。15年9月3日、迫田氏は安倍首相と官邸で面会。4日には近畿財務局、大阪航空局の担当者が籠池氏側の工事業者らと面談した記録がある。翌5日には昭恵氏が小学校の名誉校長に就任している。森友学園が8億円引きの “格安価格”で国有地の売買契約を締結するのは16年6月20日で、迫田氏が理財局長を退いたわずか3日後のことだ。
偶然にしてはできすぎではないか。菅野氏は次のように語る。
「僕は『全自動忖度機』と呼んでいますが、当時、大阪府、財務省など役所の中に安倍夫妻の意向を忖度し、森友学園の小学校をつくろうという流れは必ずあったはずです。それは、籠池氏の出してくる書類の不備や経営状況の不安をいったん無視して、とりあえず学校をつくらせようという強い動きだった。それが国有地売却の問題が公になって以来、まったく逆の流れになっているわけです」
ある省庁の幹部はこう証言する。
「私の同僚に昭恵氏から電話がかかってきて、『友人がこういうイベントを企画しているので、後押しを』と頼まれたことがある。すぐ局長クラスに話が上がり『とにかく粗相がないよう』となった。昭恵氏にはそれほど影響力がある。今回も、学校のバックに昭恵氏や有力議員が多々ついており、役人は勝手に動く。電話一本や、事務所からの一言でもあれば、なおさらだ」
菅野氏は迫田氏や松井一郎大阪府知事も国会で証人喚問すべきだと主張する。
だが、当の松井氏は16日、一連の問題の原因について報道陣にこう語った。
「(財務局側が)首相の奥さんが名誉校長の学校に対して、申請がうまくいくようにいろいろと親切な対応をした」「役所組織みんなでおもんぱかったのだろう」