次男のブログを見ると、地元議員らと握手したり、選挙を応援したりする写真が多数掲載されている。彼が政界との“パイプ役”を担っていたのだろうか。
表にまとめたように、上西氏議員が相談を持ちかけられたしばらく後の16年3月、小学校予定地の敷地地下で新たな埋設物が発見されたと学園側から財務省近畿財務局に連絡があった。6月には「8億円引き」の土地の売買契約が成立する。この間、何があったのだろうか。
国会での野党側の執拗な追及にも、財務省、国土交通省は「手続きは適切だった」と紋切り型の答弁を繰り返すばかりだ。
2月24日の衆院予算委員会で共産党の宮本岳志議員が、15年9月に森友学園側の業者と近畿財務局、国交省大阪航空局の担当者が土地の値引きを交渉していたと“暴露”した。籠池理事長も本誌に「値引き交渉」を認めているのだが、財務省理財局長は「交渉資料はすべて廃棄した」という驚くべき答弁で応じた。宮本議員がこう語る。
「官僚らの答弁は明らかな詭弁で、世間は納得しないでしょう。末端の担当者のせいにする『トカゲの尻尾切り』もしないのは、何かを守ろうとしているからではないか。今回の件はただの行政マンの仕事とは思えず、権力のある政治家の働きかけがあったとしか思えません」
これまで逆風にもビクともせず、盤石だった首相周辺の動きも慌ただしい。官邸関係者がこう語る。
「昭恵さんがよもや関わったということはないと思うが、安倍さんの道義的責任が問われるのも必至。次の衆院選での自民党へのダメージも避けられない。安倍さんが来年9月の総裁選に出馬できるかどうかも微妙になってきた。この問題は今後、近畿財務局、大阪府、森友学園の3者の問題に発展していくだろう。大阪府ということは、火の粉は維新に飛び火する」
今回のように国有地を競争入札せず、売却(随意契約)することは通常、あり得ないという。
「破格の取引ゆえ政治案件とされているが、近畿財務局レベルでは無理。本省からのOKがないとできないです」(近畿財務局関係者)
(今西憲之/本誌・小泉耕平、村上新太郎)
※週刊朝日 2017年3月10日号より抜粋