トランプ米大統領が命令した中東・アフリカ7カ国の国籍保持者の入国禁止措置で「パンドラの箱」が開いた。イスラム過激派は「トランプ暗殺指令」を出し、さらには「米国民にテロを」と呼びかけるSNSが激増。一触即発の敵愾心が世界中で蔓延中だ。ジャーナリストの黒井文太郎が取材した。
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「我々は悪魔であるアメリカに復讐する。待つがいい。トランプは愚かなブタだ!」
「トランプの命令など無意味だ。アメリカで生まれた者が、米国内でお前たちを攻撃するだろう」
イスラム過激派のSNSでは今、アメリカへのジハード(聖戦)を呼びかける書き込みが急増している。
きっかけは、1月27日にトランプ大統領が、中東・アフリカの7カ国の国籍保持者の入国を禁止する大統領令を出したことだ。
この大統領令をめぐる大混乱は周知のとおりだが、トランプ大統領に敵視されているイスラム過激派の側は、この大統領令を自分たちのジハードの正しさが証明されたものだと主張している。
たとえば、メッセージ・アプリ「テレグラム」のイスラム系チャンネル「アブ・マグレブ」には、「これでイスラム教徒に対する米政府の憎悪の真実と、厳しい現実がはっきりと明らかになった」という投稿も寄せられている。自分たちのジハードの正しさを証明したトランプ大統領を「イスラム教徒への最高の呼びかけ人」と皮肉交じりに評価するコメントもあった。
また、イスラム過激派系のSNSでは現在、2011年にイエメンで米軍に殺害された米国籍の「アラビア半島のアルカイダ」の指導者アンワル・アウラキが遺した次の言葉が広く拡散されている。
「いずれ西側の攻撃は、イスラム教徒の一般市民に向かうだろう」
現時点まで、イスラム国(IS)とアルカイダは今回のトランプ大統領の入国禁止措置に対して正式な声明は出していないが、親IS系のSNSでは、このアウラキの予言が現実のものになったとして、アメリカへの攻撃を呼びかける投稿が殺到している。
憎悪が渦巻く中、1月29日に米軍がイエメンで「アラビア半島のアルカイダ」幹部を標的とした急襲作戦を実施し、巻き添えで子供6人を含む民間人13人が殺害されるという事件があった(殺害された子供のひとりは前出のアウラキの8歳の娘)。