さらに、今後1、2年で従来の抗ヒスタミン薬では難しかった鼻づまりにも効くタイプの薬や、貼って治すタイプの抗ヒスタミン薬などが医療用医薬品として発売される予定だという。
「抗ヒスタミン薬の効き方には個人差があって、同じ薬でも副作用が強く現れる人、あまり現れない人がいます。抗ヒスタミン薬の種類は多く、医療用もあれば市販薬もある。占拠率も参考にはなりますが、自分に合った薬が見つかったら、それを続けるのが花粉症治療のコツ」(大久保医師)
また、よく言われていることだが、やはりアレルギー反応が起こる前、つまり花粉が飛び始める前から薬を飲み始める初期治療が大事。今年の関東地方であれば、1月下旬~2月上旬には飲み始めたほうがいい。
なお、現在のところ点眼薬については、市販薬ではヒスタミンの脳内での占拠率が高い、つまり副作用が出やすいケトチフェン(ザジテン)しかない。ただ、医療用医薬品では占拠率の低いオロパタジン(パタノール)があるので、医師に相談してみよう。点鼻薬は抗ヒスタミン薬が効きにくいため、ステロイド薬を適宜、使っていくしかない。
一方で、副作用が嫌で薬を飲まない人もいるだろう。
だが、花粉症患者に実施したインターネット調査では、「花粉症の症状が睡眠に影響を及ぼす」と回答した人が76.8%、花粉症の症状により仕事や勉強に影響があったと回答した人が91.7%もいる。それに対し、薬の服用で仕事や勉強の効率が上がったと回答した人は78.6%だった。
「症状があれば、治療はしたほうがいい」と訴えるのは、事故と病気の関係を研究する滋賀医科大学教授の一杉正仁氏だ。
「症状を放置すれば、集中力が低下し、ストレスもたまる。勉学や仕事にも支障が出て成績の低下や作業効率の低下を招きます。とくに自動車運転や危険な作業をする場合、集中力の低下による不注意が何らかの事故につながる可能性もある。もちろん、マスクやゴーグルなどの花粉症対策は大事ですが、それでも治まらない症状があれば我慢せず、薬物治療を受けてほしい」
進化する花粉症の治療薬。快適な春が送れる日は近いかも。
※週刊朝日 2017年2月10日号