しかし、築地存続では、市場関係者への補償費用に加えて投入済みの6千億円が無駄になる。
加工水産物を扱う「関富」の関戸富夫社長は言う。
「経営の専門家も加わった市場PTでは、豊洲新市場の持続可能性について検証している。築地より維持管理費が高い豊洲への移転を断念する業者が半分くらいいる上に、移転業者も赤字となって廃業を余儀なくされる恐れがあります。『都民ファースト』を掲げて中小業者を重視する小池知事が、市場PTの検証結果などを元に移転中止を決断する場合もありえます」
小池知事の懐刀である小島座長が率いる市場PTは5月にも報告書をまとめる予定だが、夏の都議選のシナリオが見えてきた。
それは小島座長の市場PTの結論と地下水モニタリングの検証結果を都民に提示した上で「豊洲移転イエスかノーか」の“築地選挙”を仕掛ける──。
ブレーンの意見が分裂する中、小池知事の決断に注目したい。(ジャーナリスト・横田 一)
※週刊朝日 2017年2月3日号