高校に進学したばかりの15歳のとき、周りが大学受験の準備を始めるのを見て、思った。「大学には進学せず、芸能界で生きていきたい。奇麗な人は大勢いる。そこで勝負してもかなわない。自分が求められるポジションはどこだろう?」。小学生の頃から様々なオーディションを受け、中学生で「おはスタ」(テレビ東京)の“おはガール”になった。バラエティーにも抵抗のない性格は武器ではないかと、俳優を主軸にしながらバラエティー番組でも活躍する“女版・八嶋智人”を目指そうと決めた。
「いろんなところでその発言をしていたものの、実際に八嶋さんにお会いできたのはほんの1年前です。私が、“女版・八嶋智人”を目指しているのはご存じだったんですが、八嶋さんのキャラクターや芝居にではなく、ポジションに憧れていると知って、愕然とされていました(苦笑)」
とは言うものの、八嶋さんの所属する劇団「カムカムミニキーナ」の舞台も、好きでよく観に行っている。2013年にはNHK連続テレビ小説の「あまちゃん」で女優として全国区になり、昨年は、大河ドラマ「真田丸」にも出演。“主軸”である女優業は順調そのものだが、3年ぶりに本格的な舞台に出演することも、“女版・八嶋智人”を極めるために、不可欠な挑戦なのかもしれない。
ケラリーノ・サンドロヴィッチさんが手がける「昭和三部作」の完結編となる「陥没」は、昭和39年に開催された東京オリンピック目前の東京が舞台。以前、昭和三部作第2弾の「黴菌」を観た高校生の松岡茉優さんは、彼の描き出す芝居世界の奥深さに打ちのめされたという。