運用実績に関しても問題が多く、100キロ以上の飛行が可能で、搭載するカメラで撮影した画像のリアルタイム送信能力を持つFFRSは、11年の福島第一原発の事故や、14年9月に発生した御嶽山の噴火といった、その特性を最も生かせる局面で一度も使用されていない。

 防衛省の徳地秀士防衛政策局長(当時)は13年4月の衆議院予算委員会で、FFRSを福島第一原発の情報収集に使用しなかった理由をこう説明した。

「運用開始から1年程度しか経過していないため、飛行実績が不足していた」

 しかし、それから3年半後に起こった御嶽山噴火でも使用できなかったということは、信頼性、性能面に何らかの問題があったと判断せざるを得ない。

 FFOSとFFRSは本体のほか、制御装置や発着装置などを搭載する7台の車両によって構成されており、ある防衛省幹部は「まるで大名行列のようだ」と揶揄(やゆ)気味に評している。

 価格も1セット約45億円(FFOS)と高く、防衛省は費用対効果などを考慮した結果、14年度をもって事実上調達を打ち切った。つまり、使えなかったのだ。

 自衛隊も他国に比べてドローンの導入・運用が遅れていることを認識しており、東日本大震災後に編成された11年度の補正予算では、本格的な導入を前提として、ボーイング社の子会社であるインシツ社が開発した「スキャンイーグル」と、日本のフジ・インバック社が開発したドローンを試験導入した。また14年度からは陸海空3自衛隊の共通装備として、前述した「グローバルホーク」をアメリカから購入。ドローンの技術ではアメリカと双璧にあるイスラエルとの間で、中型偵察用ドローンの共同研究に向けた交渉を進めた。

 ただ、こうしたドローンを自衛隊が使いこなせるかは未知数だ。既存の航空法や電波法の中にドローンをどう位置づけるのかや、ただでさえ不足している電波をどう確保するのかといった問題が山積している。

週刊朝日 2016年12月16日号

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