「バッハ会長に手渡された資料は9月29日の報告書をベースに、小池知事と上山特別顧問とで作成された資料です。内容は調査チームとしての考え方をまとめたものでありまして、事務局は作成に関与しておりません」
吉原都議は、「調査チームの提言が都としての方針を決定する権限を持っているのか」と質問を続けた。
「調査チームは知事に助言、提言を行うために設置されたプロジェクトチームでありまして、都としての方針を決定するのは知事が決定します。都を代表しての見解ではない」(都政改革本部事務局)
文書の表紙には「Governor’s Office(知事室)」と書かれていたが、この日に配られた資料ではこの部分が二重線で消されて訂正されていた。前出の都政改革本部の担当部長によれば、
「都の意思決定したものであるという誤った受け取り方をされないように、知事より表紙の作成者について削除の指示があったので、削除した。IOCにも削除した旨を伝えて理解してもらった」
という。
遠藤都議からは、こんな質問も出た。
「そもそも、都庁のセクションを英訳した場合、『Governor’s Office』なんて、あるんでしょうか」
これに対する答えは、
「組織機構としてはないかというふうに思っています」(担当部長)
共産党の吉田信夫都議は、こう言った。
「文書の和訳を見てほんとにびっくりですよ。ズサンな計算で示した結論として3兆円超というものが、バッハ会長に出されるということは、私はあまりにも、公文書、外交文書としては不適切だと思うんですが、いかがですか?」
このほか、調査チームがボート・カヌー会場の見直し案として宮城県の長沼を候補に挙げた際、大会組織委員会の了解をえずに直接、宮城県知事とコンタクトを取ったとして、「越権行為に当たるのではないか」といった批判の声も出て、委員会は約3時間に及んだ。
※週刊朝日 2016年11月18日号より抜粋