ライヴ・イン・ザ・ネザーランズ
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今回は「ひとりマイルス・キャンペーン」のご報告と90年ライヴ
Live In The Netherlands (Sapodisk)

 このコーナーは文字通りマイルスの新作・新音源を紹介することが目的だが、ときには個人的PRの場と化すこともあり、今回は最初にスペースをいただき、「ひとりマイルス・キャンペーン」についてご報告したい。

 とはいえマイルス関連の新刊が出るということだけなのですが、とりあえず4冊、全部「新書」ということで我ながら異例の企画ではないかと思っています。12月16日に『マイルス・デイヴィス 青の時代』(集英社新書)が出ます。いわゆるアコースティック・モダン・ジャズの時代のマイルスを共演者単位で切り取ったもので、『カインド・オブ・ブルー』までの総括となります。書名はその昔、プレスティッジから出ていた10インチ盤『ブルー・ピリオド』を拝借しました。そして12月18日には渋谷タワーレコードでトーク&サイン会を行ないます。お相手は当ジャズストリートでもおなじみの原田和典さんです。参加方法や詳細は渋谷タワーを参照ください。

 年が明けて2010年には『マイルスの夏 1969』(扶桑社新書)が出ます。これは季刊文芸誌「エンタクシー」とジャズ専門誌「スイングジャーナル」で同時進行していた『ビッチェズ・ブリュー』に関するドキュメントをまとめたもので、今回の新書化にあたり加筆・再構成しました。次に2月(予定)には『マイルス・デイヴィスとジョン・コルトレーン』(文春新書)が出ます。シンプルな書名から容易に察しがつくかと思いますが、2人の相関関係、生きた時代をドキュメントふうにまとめたものです。以上3冊は連続して刊行されますが、しばし間を置いて『マイルスの夏 1972』(ワニブックスPlus新書)が出ます。これまたお察しのとおり、前述『1969』の続編のようなものですが、『1972』では『オン・ザ・コーナー』が主役になります。そして次は.....まだ決まっていません。以上、PRにお付き合いいただき、どうもありがとうございました。

 そうそう、12月10日発売の雑誌『サライ』(小学館)では第3特集としてブルーノートが取り上げられ、マイルスの《ディア・オールド・ストックホルム》を含むブルーノートのCDが付いています。興味のある方はこちらも要注目です。

 さてサポディスクからの新作は1990年7月13日、オランダでのライヴ。90年物は久しぶりかもしれません。駆け足で紹介すると、音質は最高、これぞ理想のオーディエンス録音でしょう。メンバー構成としては、ベースがリチャード・パターソン、パーカッションがマイルスの息子エリンといういかにも最晩年らしい顔ぶれ。冒頭にやや欠けがみられるが気になるほどのものでなく、「最晩年のマイルスを何か1枚」という方には推薦のアイテムといえるだろう。余談ですが、いずれ『マイルス最後の10年』というテーマでも書きたいと思っています。

【収録曲一覧】
1 Perfect Way
2 Star People
3 Hannibal
4 The Senate / Me And You
5 Human Nature
6 Time After Time
7 Wrinkle
8 Tutu
9 Don't Stop Me Now
10 Carnival Time
(2 cd)

Miles Davis (tp, key) Kenny Garrett (as, fl) Foley (lead-b) Kei Akagi (key) Richard Patterson (elb) Ricky Wellman (ds) Erin Davis (per)

1990/7/13 (Holland)

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