楠さん曰く、「サポートメンバーのときと違って、今は、自分も大事な役割を受け持っているんだという気持ちが強いですね。もっと自分の場にしていいんだ、って気持ちが日に日に強くなる」のだとか。
収録曲には、ライブで演奏してからレコーディングしたものもあった。
「一度、曲が体に入った状態でレコーディングできるのはバンドならでは。バンドも3年以上続けると、それなりに密接な感じが出てくるし、ようやく、塊としてのKIRINJIができあがってきているのかな、と。自分一人でやってると、思い描いた通りにはなるけれど、先の広がりはない。今は、自分で書いた曲でも最後は思い描いたのとは違うものができあがる。人生も同じで、向こうからやってきたものを受け入れてみたら面白かったってことが、結構あったんです。若いときは、自分の思い通りにしたい気持ちが強かったのに、年を重ねた今は、来るものは拒まず(笑)。でも、刺激的ですよ。人一人が持つ可能性って大きいから。こういう大人が集まったバンド、みんなもっとやればいいのに」(堀込さん)
現在、全国ツアーの真っ最中。ソロとしても活動する6人が集まり、チームワークを発揮しながら、極上の演奏と歌で魅了する。それこそ、大人の贅沢空間である。
※週刊朝日 2016年10月14日号