コンプリート・シンデルフィンゲン1964
コンプリート・シンデルフィンゲン1964
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ついに登場!伝説の64年ライヴ完全版
Complete Sindelfingen 1964 (So What)

 1964年10月8日のシンデルフィンゲン・ライヴは過去に何度かヴァージョンアップ盤が登場した。最初は『デヴィシアーナ』(ムーン)そして『オール・ブルース』(ムジカ)といった懐かし盤に分散収録され、その後も『フロム・ザ・マスター』(ソー・ホワット)や『シンデルフィンゲン1964』(メガ・ディスク)等々、「あった、あった」「そう、そう」と身に覚えのあるマイルス者も多いことだろう。それだけ人気のアイテムということになるが、真相は、いずれもコンプリートでなく、そこを埋めようと躍起になった結果の再発合戦ということになる。

 当時の問題は《オール・ブルース》が完全か不完全かという一点にあったが、最終的には《ステラ・バイ・スターライト》が未収録であることに変わりはなく、しかしマニア間では同曲を含んだ上でのコンプリート化は不可能とされてきた。ここにご紹介するソー・ホワット盤は、その不可能を可能にした究極のコンプリート盤。《オレオ》につづき《ステラ・バイ・スターライト》がちゃんと入っている。これで長年にわたるヴァージョンアップ競争もようやく終止符が打たれた。音質も過去最高のクオリティといっていいだろう。

 1曲目《枯葉》、トニーのブラッシュにのってマイルスの手馴れたソロがくる。ややテンションが低く、軽く流している感じ。次に出るショーターはあきらかにインスピレーション不足で、なにを思ったか、いやなにも思っていなかったのだろう、ジョン・コルトレーンの《ミスターPC》のフレーズを吹くなど、かなり痛い。ただしハンコックのソロあたりからクインテットのテンションも上昇カーヴを描き、最後に出るマイルスは緊張感いっぱい、そこから《ソー・ホワット》になだれ込む。つづく《オレオ》がまたすごい。マイルスのソロは完璧、そして積年の《ステラ・バイ・スターライト》がやってくる。なるほど、これでコンサートの流れがうまくつながった。ラストの《ウォーキン》ではトニーのシンバル音がクリアで、怖いくらい。以上はファースト・コンサート。

 セカンド・コンサートにあたる後半は、おおいきなりの《マイルストーンズ》とは。テーマでハンコックがいつもとちがうフレーズで飾りつける。マイルスのソロにも新しいフレーズが出てくる。よし、ショーターも怪しくも元気いっぱい、これでこそ黄金の60年代クインテットというものではないだろうか。次に出るハンコックも見事のひと言。このハンコックをはじめ全員が全員、静と動を巧みに使い分けた、じつにIQの高いソロをくり広げる。うーむ、すばらしい。

【収録曲一覧】
1 Autumn Leaves
2 So Wha
t 3 All Blues
4 Oleo
5 Stella By Starlight
6 Walkin'-The Theme
7 Milestones
8 No Blues
9 All Of You
10 Joshua-The Theme
(2 cd)
*1-6=first concert. 7-10=second concert.

Miles Davis (tp) Wayne Shorter (ts) Herbie Hancock (p) Ron Carter (b) Tony Williams (ds)

1964/10/8 (Germany)