「日ロ首脳の会談は11月で15回目に達し、信頼関係は醸成されている。米国のオバマ大統領の任期切れが迫り、米国から横やりが入りにくい好環境でもある。クリミア併合による欧米の経済制裁でロシア経済は低迷し、日本からお金を突っ込んでもらいたいのが最優先の思いだろう」
領土問題の進展という外交成果を機に、国民に信を問う総選挙シナリオ。12月25日のクリスマスにも、との観測が永田町で出始めた。
「経済の面で今後の見通しは芳しいとは言えない。来年の通常国会もこれといった話題はなく、将来的に解散を打つ目玉がない。日ロ交渉がうまく進めば、議席減をかなり抑える効果がある。年末総選挙はあっておかしくない」(自民党関係者)
13日付の読売新聞が報じた世論調査で、安倍内閣の支持率は62%だった。ロシアとの経済協力を積極的に進める首相の方針については、「評価する」が66%、「評価しない」が27%。支持率が高く、日ロ交渉を世論から好意的に受け止められていることも背景にある。
もっとも、早期解散に否定的な見方もある。政治アナリストの伊藤惇夫氏はこう話す。
「2島返還解散の可能性は非常に低いと思います。2島返還で妥協したら、残りの2島はかえってこないのではないか。任期はまだ2年もあり、野党が弱体化したとはいえ、自民党の議席数は現状がアッパーリミット。よほどの風が吹かない限り、議席を増やせない」
早期解散論が出るのは、危機感の表れでもある。7月の参院選後、自民党は独自に次期衆院選のシミュレーション調査をした。結果は「40から50議席を落とす」だった。
7月の参院選では、野党が統一候補を擁立し、自民党は思わぬ苦戦を強いられた。衆院選での野党協力が進む前に解散に打って出たい思惑もある。
「党を立て直す先頭に立ちたい。(同志と共に)政権を担っていきたい」
民進党の新代表に就いた蓮舫氏は15日、こう思いを語った。その一方で、民進党内では代表選のさなか、蓮舫氏の「二重国籍問題」について、こんな内容の怪文書が出回っていた。