「沖縄には『門中』(父系の血縁集団)という言葉があります。地域の結束が強く、互いに助け合う風土。このため、強い危機意識を持つ必要がなく、金融知識も低いのではないでしょうか。それでも、地域に支えられて生きていけるので、『なんくるないさー(何とかなるさ)』という気持ちになります」(矢野氏)
岩中氏も同様の見方だ。
「収入や貯蓄の数値をみると、沖縄は全国のなかで低いほうで、経済的に恵まれていない。このため、近視眼的行動バイアスが2位と、将来のお金よりも今のお金がありがたい気質になると考えられます」
いかがだろうか。
金融リテラシー調査からは、お金の県民性が浮かび上がる。岩中氏は言う。
「すべてを県民性で語れるわけではないですが、地域の歴史や自然環境は住む人の発想や考え方に影響します。各地から人が集まる都市部は特徴が出にくいですが、地方や3世代同居の多い地は、長年受け継がれている価値観が表れるのではないでしょうか」
矢野氏も言う。
「こうやってみていくと、各県ともに個性的ですね。コンビニがさまざまな地域限定商品を出していますが、企業も地域ごとの分析や販売戦略に力を入れています。全国平均、男女別、年齢別だけでは見えないものは多い。都道府県別の違いを詳しく分析できる今回の調査は、大きな進歩です」
調査結果は、金融広報中央委員会のホームページで見られる。あなたならではの視点で分析し、人付き合いやビジネスのヒントにしてはどうだろうか。
※週刊朝日 2016年9月16日号