優雅で気品があり、キリッとした美しさを持つ草笛光子さん。82歳と伺って、マリコさんもびっくりです。大河ドラマ「真田丸」では真田家をまとめる「ゴッドマザー」として大人気。作家の林真理子さんがドラマの裏話を聞きました。
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林:おとりさま(「真田丸」信繁の祖母)が亡くなったときは、すごい反響だったんじゃないですか。
草笛:そうですね。ツイッターっていうの? 友達から教えてもらって見たら、すごい数が書いてありました。
林:戦国の世で、あんなふうに子どもや孫に囲まれて幸せに死んでいく人って、いなかったんじゃないですかね。
草笛:でしょうね。私、戦国に生きてないからわからないけど(笑)。
林:これから関ケ原の戦いに向けて、仲のいい一家が分裂していくわけですよね。彼らはこの先、おとりさまがいた時代を懐かしく思い出すんじゃないですかね。
草笛:三谷(幸喜)さんが最後に私に言わせてるセリフ。「たとえ離れ離れになっても真田は一つ。心さえつながっておればな」。
林:それがこのドラマのテーマでもあるんですよね。
草笛:テーマを言わせていただけるって、すごくうれしかった。役者っていいセリフをいただくとうれしいものです。最初にホン(台本)をいただいたとき、「囮(おとり)になっていくおとり」って書いてあって、“おとり”という名前ですので、私、プッと噴いちゃったんです。三谷さん、始まる前にメールをくださるんですが、「重石ですから」「でも明るくてみんなに愛されるおばあさんです」とかいろいろありまして、それを全部集めるとわからなくなって、アタフタしながらやったんです。だんだんわかってきましたけど。
林:おとりさま、肝っ玉が据わってますよね。第2話で、一家が岩櫃城にたどり着くために、農民に変装するじゃないですか。顔に泥をつけるとき、高畑淳子さん演じる薫さまは「そんなまねができますか」という感じなのに、おとりさまは「やるしかない」という感じで。