おむつをめぐる介護を描いたマンガ「ヘルプマン!!Vol.5 排泄編」(くさか里樹著、朝日新聞出版刊、現在発売中)では、おむつを使うようになった妻とその介護をする夫が、おむつからの尿漏れに悩む様子が描かれた。追い詰められた夫婦の前に現れたのは「おむつフィッター」なる女性。漏れの意外な原因を言い当てられ、ようやく救われる。全国に5千人以上いるおむつフィッターとは──。
おむつフィッターは、京都市上京区で排泄用具の情報館「むつき庵(あん)」を運営する株式会社はいせつ総合研究所による認定資格。代表の浜田きよ子さんはこう話す。
「勘違いされることが多いのですが、おむつのアドバイザーではありません。排泄の困りごとに対して、おむつなどの排泄用具はもとより、医療や住環境、食事など幅広い視点で提案できる人を、おむつフィッターに認定しています」
資格は3段階。3級は基本的な知識を網羅できる総論。2日間の研修を受け、試験に通れば資格を授与される。深く学びたい人には、応用編の2級、講師レベルの1級も用意されている。
内閣府が2013年に行った特別世論調査(有効回答数1842人)で、介護経験者とその家族に、苦労したことを尋ねると、いちばん多かったのは排泄(排泄時の付き添いやおむつの交換)だった。連載に出てきたフィッターが言う「排泄の謎がわかれば人生が変わる」はそのとおりだろう。
7月末。京都市内で開催された「おむつフィッター3級研修」を見学した。参加者は75人。
1日目は「排泄ケアの総論」「排泄用具やおむつについて、おむつの種類や組み合わせ」「排泄のメカニズム」といった講義が中心。2日目の午前中は「おむつの当て方」などの実習が行われた。
介護される役の女性の服の上から、浜田さんが尿取りパッド1枚を重ねたテープ留め紙おむつを当て、片側2枚ずつのテープを平行に貼る。ごく一般的な当て方に見えるが、「これは悪い例」と浜田さん。次に尿取りパッドの立体ギャザーを内股のラインに沿うように丁寧に当て、テープをクロスさせて貼ると、女性は「さっきのように股が痛くない。すごく楽に動けます」と目を輝かせた。